プレコンセプションケアとは?
「いつか子どもが欲しい」——その気持ちが芽生えた瞬間から始められるケアです。 プレコンセプションケア(Preconception Care)とは、妊娠を望む前の段階から、自分の体と向き合い、将来の妊娠・出産に備えて健康状態を整えるための医療的サポートです。 単に妊活の一環というよりも、「妊娠できる体づくり」や「将来の不安の整理」を含むライフプランの第一歩とも言える大切なケアです。
このケアは女性だけでなく、男性にとっても非常に重要です。 近年ではWHOや日本の公的機関も、妊娠の約半分は男性側の健康状態に左右されることを示しており、精子の質や生活習慣、感染症対策などを妊娠前から見直すことが推奨されています。
こんな方におすすめです
- 将来子どもを授かりたいと考えている
- 結婚・妊活は未定だが、月経や体調に不安がある
- 妊活を始める前に、体の状態を確認しておきたい
- 月経不順や月経(生理)痛がひどく、妊娠に影響があるか気になる
- 妊娠を希望しているが、持病や服薬があり不安がある
- ピルやホルモン治療を受けており、妊娠との関係を知りたい
- キャリアと出産のタイミングをどう両立すればいいか悩んでいる
男性パートナーの方
- 将来子どもを持ちたいと考えている
- 喫煙・飲酒・ストレスなど、生活習慣が気になっている
- 精液検査で異常を指摘された経験がある
- 感染症の予防や治療歴について確認しておきたい
- パートナーの妊活に向けて、自分にできることを知りたい
プレコンセプションケアで行うこと
■ 月経周期のチェックとホルモンバランスの評価
- 月経周期の記録(基礎体温・月経アプリの使用)
- 血液検査によるホルモン測定(FSH、LH、AMH、プロゲステロンなど)
- 排卵の有無・タイミングの特定
- 排卵障害・無月経・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの早期発見
■ 超音波検査による子宮・卵巣の状態把握
- 子宮内膜の厚さ、卵胞の発育状態を評価
- 子宮内膜症・卵巣嚢腫・子宮筋腫などの有無をチェック
- 子宮の形態異常や内膜ポリープの有無(必要に応じて子宮鏡検査)
■ 健康状態・生活習慣の見直し
- 過去の病歴、現在の服薬、アレルギーなどの確認
- 適正体重・栄養バランス・睡眠習慣・運動量のチェック
- 葉酸の摂取、禁煙・禁酒、ストレスマネジメント指導
- 持病(甲状腺疾患、糖尿病、自己免疫疾患など)の妊娠への影響評価
■ 感染症・予防接種の確認
- 風疹、麻疹、水痘、B型肝炎などの抗体チェック
- HPVワクチンの接種状況確認
- 子宮頸がん検診の実施
- 性感染症(クラミジア、梅毒、HIVなど)の検査と予防指導
- 必要に応じてパートナーと一緒に検査・相談
妊娠を希望するタイミングに合わせた個別対応
■ 半年〜1年以内に妊娠を希望する方へ
「そろそろ妊活を始めたい」「自然妊娠を目指したい」という方には、現在の体の状態を正確に把握し、妊娠しやすい時期を見極めるサポートを行います。
- 月経周期や排卵の状態を確認するための基礎体温の記録と超音波チェック
- 排卵日予測に加え、排卵誘発の検討(必要に応じて内服または注射)
- 性交渉のタイミング指導(タイミング法)
- 妊娠しやすい体づくりのための栄養・運動・生活習慣アドバイス
- 必要に応じてパートナーの精液検査や性感染症検査
- 精子の到達障害などがある場合は人工授精(AIH)へのステップアップも視野に入れます
■ 数年先を見据えて妊娠を考えている方へ
「今すぐではないが、将来的に子どもを持ちたい」と考えている方には、妊娠しやすい体を保つための月経管理やホルモン調整、ライフプランとの両立支援を行います。
- 月経不順やPMSのある方にはピルや漢方での月経コントロール
- 卵巣予備能(AMH検査)やホルモンバランスの評価
- 子宮・卵巣の異常(内膜症・筋腫・卵巣嚢腫など)がないかのチェック
- 風疹・麻疹・水痘・子宮頸がんなどのワクチン・健診の確認
- キャリアやライフプランに合わせた妊娠時期の相談・逆算シミュレーション
- ピル内服中の方には、将来的な切り替え時期や妊娠までの流れも含めて説明
■ 妊娠の予定は未定だが、将来の選択肢を残したい方へ
「妊娠できるうちに自分の体を知っておきたい」「年齢的なリスクが気になる」「今は産めないが、将来の選択肢を持っておきたい」といった方には、将来の妊娠力を“見える化”し、必要なら生殖機能の保存も視野に入れた支援を行います。
- 卵巣年齢(AMH)検査による卵巣予備能のチェック
- 子宮や卵巣の構造的異常(ポリープ・奇形・癒着など)がないかの確認
- 卵子凍結や精子凍結についての情報提供と必要に応じた提携施設紹介
- 抗がん剤治療など将来の妊娠力に影響するリスクを抱える方への早期支援
- パートナーがいない方にも、将来的な妊娠の選択肢を持ち続けるための相談体制
プレコンセプションケアのご相談はいつでもお気軽に
妊娠を考え始めた時期は人それぞれです。
「すぐではないけれど気になっている」「まだパートナーはいないけど不安がある」など、どんなステージでもご相談いただけます。
自分の体の状態を知ることが、未来の安心と選択肢を広げる第一歩です。
よくあるご質問(FAQ)
プレコンセプションケアは、何歳から受けられますか?
思春期以降のすべての女性が対象です。
特に将来妊娠を希望している方や、月経トラブルがある方は、20代からの受診をおすすめしています。
妊娠の予定がまだなくても、受けて意味はありますか?
はい、あります。
妊娠を希望する「前」の段階で体の状態を知ることで、将来の選択肢を広げることができます。月経管理や生活改善を早めに始めることは大きなメリットになります。
どんな検査を受けるのですか?
月経周期やホルモンバランスのチェック、超音波検査、感染症・抗体検査などを行います。必要に応じて子宮鏡検査や生活習慣の評価も行います。
保険は使えますか?費用はどのくらいですか?
プレコンセプションケア検査は基本的に自由診療です。自由診療費の一覧をご参照ください。ただ、患者さんの状況によって疾患が疑われたり、実際に疾患がある場合は保険診療に切り替わることがあります。
月経が不規則でも妊娠できますか?
可能性はありますが、排卵障害やホルモンの乱れがある場合は妊娠しにくくなることもあります。プレコンセプションケアで早めに原因を確認し、必要な対応を行うことが重要です。
夫(パートナー)も一緒に受診できますか?
もちろん可能です。
将来妊娠を希望しているカップルにとって、パートナーの健康状態や生活習慣も大切です。性感染症の検査や生活指導など、ご夫婦で受ける方も増えています。
ピルを飲んでいますが、プレコンセプションケアは受けられますか?
はい。
現在はピルを服用中でも、将来の妊娠計画のために、卵巣の予備力を確認したり、子宮や卵巣の状態を確認したり、風疹などの抗体検査をしたりといろいろな準備が可能です。妊娠にむけてピルをやめる時期などもご相談いただけます。
妊娠を希望する時期がまだ漠然としています。それでも相談してよいですか?
もちろん大丈夫です。
「今は考えていないけれど、将来のために知っておきたい」という方も多くいらっしゃいます。自分の体を知ることが、ライフプランの整理にもつながります。
持病があります。妊娠に影響しますか?
持病によっては、妊娠中や出産時に影響するものもあります。
プレコンセプションケアでは、服薬や病気の管理状態を確認し、妊娠に向けた準備を早めに行うことができます。
プレコンセプションケアを受けた後、どのように妊活へ進むのですか?
ご希望や体の状態に合わせて、自然妊娠を目指す方にはタイミング指導を、必要な方には不妊治療へのステップをご提案します。近隣の不妊治療施設との連携体制も整えており、スムーズな移行が可能です。