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ピル|避妊・月経管理・女性のライフプランを支える選択

はじめに:ピル服用を考えている方へ

「ピルって体に悪いのでは?」「若いうちから飲んで大丈夫?」──そんな不安を抱えている方は少なくありません。実際、ピルには副作用がある一方で、長年の使用実績があり、世界中で多くの女性が使用している薬でもあります。

現代のピルはホルモン量が抑えられた低用量タイプが主流で、医師の管理のもとで安全に服用することが可能です。また、避妊以外にも副効用として月経痛の緩和や肌トラブルの改善、PMS(月経症候群)の改善など、女性の生活の質を高める効果もあります。

初めての方にもわかりやすく説明し、納得したうえで服用を開始できるよう、当院では丁寧なカウンセリングを行っています。どんな小さな不安でも、遠慮なくご相談ください。

ピルのメリット

ピルには、身体的にも社会的にも多くのメリットがあります。避妊のためだけでなく、女性の健康管理やライフスタイルの選択肢としても幅広く活用されています。ここでは、主なメリットを整理してご紹介します。

身体的メリット(副効用)

  • 月経痛やPMSの軽減
    (月経困難症と診断された場合、その治療にとしてピルと同じ低用量のエストロゲンとプロゲスチンの合剤を保険診療で処方することが可能です。医師とご相談下さい。)
  • 月経周期の安定化
  • にきびや肌荒れの改善
  • 子宮内膜症の予防・軽減
    (子宮内膜症と診断された場合、子宮内膜症に伴う疼痛の改善目的にピルと同じ低用量のエストロゲンとプロゲスチンの合剤を保険診療で処方することが可能です。医師とご相談下さい。)
  • 鉄欠乏性貧血の改善
  • 卵巣がん・子宮体がんのリスク低下

社会的メリット

  • 自分の意思で妊娠の時期を選べる
  • キャリアや学業との両立がしやすくなる
  • ライフプランに合わせた選択ができる

このように、ピルは「避妊」だけにとどまらず、女性が自分らしい人生を歩むための大切な選択肢です。年齢やライフステージにかかわらず、安心してご相談いただける環境を整えております。

ピルの副作用・リスク

ピルは一般的に安全性が高い薬剤ですが、以下のような軽度の副作用が出る場合があります。

副作用について

  • 胸の張り
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 不正出血
  • むくみ、だるさ など

これらは服用開始初期によくみられる症状で、数ヶ月の継続により自然とおさまることが多く、心配は不要です。

ただし、血栓症(血管内に血の塊ができる病気)のリスクがわずかに増加します。 発症率は非常に低く、日常生活でのリスクを大きく上回るものではありませんが、異常を感じた場合はすぐに医師へご相談ください。

ピルの種類と使用例

ピルと一口に言っても、その種類や用途には違いがあります。避妊を目的として継続的に使用するものから、月経日の調整や緊急時の対応に使うものまで、目的や状況に応じて適切なタイプを選ぶことが大切です。

ここでは、当院で処方される「低用量ピル」「中用量ピル」「緊急避妊ピル(アフターピル)」の3種類について、それぞれの特徴や使用目的、具体的な使用例をわかりやすくご紹介します。

低用量ピル(低用量経口避妊薬)

低用量ピルは、主に避妊を目的として日常的に服用されるお薬です。排卵を抑えることで高い避妊効果を発揮し、正しく服用すれば妊娠のリスクを大幅に低下させることができます。さらに、副効用として月経痛の緩和やPMS(月経前症候群)の改善、月経周期の安定化といった月経に関する不調が改善されます。(月経痛がひどい月経困難症や内膜症と診断された場合は、ピルと同じ低用量もしくは超低用量のエストロゲンとプロゲスチンの合剤を治療薬として保険診療で処方可能です。医師にご相談下さい。)

服用を継続することで、にきびや肌荒れの改善、鉄欠乏性貧血の予防などの副次的効果も期待でき、10代から大人の女性まで幅広く活用されています。

使用例

確実な避妊を希望する方に処方されます。

ミニピル(プロゲスチン・オンリー・ピル:POP)

「ミニピル」とは、女性ホルモンのうち、プロゲスチンという成分だけを含むピルです。低用量ピルは「エストロゲン」と「プロゲスチン」の2種類のホルモンを含みますが、ミニピルはエストロゲンを含まないのが特徴です。

それにより、エストロゲン作用による血栓症のリスクがありません。今まで、肥満、喫煙、授乳、高齢などの背景からエストロゲンによる血栓症のリスクが高く、避妊用のピルを服用できなかった方も安心して服用していただくことができます。

使用例

今まで低用量ピルを使用していたけれど、さまざまな要因(肥満、喫煙、授乳、高齢など)で血栓症のリスクが高まっていた方、低用量ピルを使いたかったけれど、さまざまな要因(肥満、喫煙、授乳、高齢など)で医師から使用を勧められないと言われてあきらめていた方、に大変よい薬剤です。ぜひ医師にご相談ください。

中用量ピル(中用量経口避妊薬)

中用量ピルは、月経(生理)日を一時的に調整したいときに短期間服用する薬です。イベントや試験、旅行など、大切な予定と月経が重なることを避けたい場合に、月経を意図的に早めたり遅らせたりする目的で使われます。

服用タイミングを誤ると効果が得られにくいため、医師の指導のもとで事前に準備することが大切です。また、ホルモン量がやや多いため、吐き気や不正出血といった副作用が出ることもあります。

使用例

修学旅行やスポーツ大会などのイベントと月経(生理)が重なるのを避けたい方や、仕事の出張、海外旅行の予定がある社会人の方などに、短期間処方されます。

緊急避妊ピル(アフターピル)

緊急避妊ピルは、避妊に失敗した、あるいは避妊をしなかった性交後に妊娠を防ぐために使用する薬です。性交後72時間以内に服用することで、排卵を抑制したり受精卵の着床を妨げたりする効果があり、妊娠成立の可能性を大きく下げることができます。

あくまで「緊急用」の手段であり、日常的な避妊手段としては適していませんが、やむを得ない状況下で妊娠を回避するために、女性の選択肢として重要な役割を果たします。

使用例

避妊具が破れた、途中で外れた、避妊を行わなかったなど、予期せぬ性交後に妊娠の可能性が生じた場合に、早急に服用する必要があります。

ピル処方の流れと料金について

当院では、女性一人ひとりのライフスタイルや体調に合わせて、適切なピルの処方を行っています。初めてピルを服用する方にも、ホルモンの特徴や副作用、正しい服用方法を丁寧にご説明いたしますのでご安心ください。

検査について

WHO基準に基づき、当院では特別な健康リスクがない限り、初回の血液・尿検査は行いません。処方時は毎回血圧と体重の測定を実施します。長期的に服用する場合は、年1回超音波検査で子宮と卵巣の所見を確認し、肝機能などを血液検査で確認し、安心安全にピルを服用していただけるようサポートいたします。

料金

低用量ピル(低用量経口避妊薬)

  • 初診:カウンセリング料3,000円+薬剤料
  • 再診:処方料500円+薬剤料
  • 薬剤料:1シート目2,860円、2シート目以降は2,570円(+税)

ミニピル(プロゲスチン・オンリー・ピル:POP)

  • 初診:カウンセリング料3,000円+薬剤料
  • 再診:処方料500円+薬剤料
  • 薬剤料:1シート3,000円(+税)

中用量ピルによる月経移動(月経時期変更法)

  • 3,500円(+税)
  • 初診料、再診料、処方料はいただいておりません。検査を行った場合は別途料金がかかります。

緊急避妊ピル(アフターピル)

  • 12,400円(指導料、薬剤料含む)(+税)
  • 初診料、再診料、処方料はいただいておりません。検査を行った場合は別途料金がかかります。

ピルは、避妊だけでなく、女性の心と身体の健康をサポートし、未来を選択するための手段です。自分らしく、安心して毎日を過ごすために、ピルという選択肢についてぜひご相談ください。

次回以降の受け方ガイド

  1. 予約システムで「ピル予約」から予約
  2. 予約日時にチェックイン
  3. 中待合室で血圧と身長・体重を測定
  4. 測定用紙を受付に提出し、待合室で待機
  5. 医師の問診と処方
  6. 会計とピルと受け取り

以下の場合はご連絡ください

  • むくみ、不正出血などの副作用が出たとき
  • 飲み忘れの対応で不安なとき
  • 他の薬を併用するなど、体調の変化があったとき

※以下、より詳しく知りたい方向け

ピルとは?

ピルとは、人工的に合成された卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)を配合した医薬品で、主に避妊を目的に使用されます。また、月経にまつわる症状の改善や、女性のライフプランを尊重するための選択肢としても広く活用されています。

ピルの3つの作用メカニズム

ピルによる避妊効果は、以下の3つのメカニズムで実現されます。

1. 排卵の抑制

ピルに含まれるエストロゲンとプロゲスチンは、体内に吸収されると視床下部と下垂体に作用します。これにより、卵巣からホルモンがすでに分泌されていると“誤認”させるため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌が抑えられます。 結果として卵子は成熟せず、排卵が起きなくなります。

2. 精子の進入を防ぐ

ピルは子宮頸管の粘液の性状も変化させ、粘液が濃く粘調になることで精子が通過しづらくなります。 これにより、子宮内への精子の侵入を効果的に防ぎます。

3. 着床の阻止

仮に受精が起こったとしても、ピルにより子宮内膜は受精卵の着床に適した状態にならず、着床は成立しません。 この「排卵抑制」「精子侵入防止」「着床阻止」の3段階の作用によって、ピルは高い避妊効果を発揮します。

ピル服用と卵巣機能への影響について

「ピルで卵巣を休ませるのは身体に悪いのでは?」と不安を感じる方も少なくありません。

実は、女性の身体は妊娠・出産・授乳の期間中、およそ2年もの間、自然と卵巣機能を休止状態にします。 これは“妊娠を継続し、次の妊娠を防ぐ”という生理的なメカニズムであり、休止と活動をバランスよく繰り返すことこそが、本来の自然な状態といえます。

しかし現代では、妊娠・出産の機会が減少し、卵巣が休むことなく働き続けることにより、子宮内膜症などの病気のリスクが高まっていると指摘されています。 そのため、ピルによって周期的に卵巣を休ませることは、むしろ体の自然なリズムを整える意味でも大切です。

ピルの飲み忘れ時の対応と注意点

ピルを飲み忘れた場合の対処法

ピルは毎日決まった時間に服用することが重要です。しかし、飲み忘れてしまった場合でも、以下のルールに従えば避妊効果を保つことができます。

48時間以内(1〜2錠の飲み忘れ)

  • 気づいた時点ですぐに1錠服用し、以後は通常どおり1日1錠を定刻に服用します。
  • 定刻に2錠服用する形になっても問題ありません。
  • この場合、他の避妊法の併用は不要です。

48〜72時間以内(3錠以上の飲み忘れ)

飲み忘れたタイミングにより、対応が異なります。

1週目に飲み忘れた場合
  • 気づいた時点で1錠服用し、以後は1日1錠を継続。
  • 最低7日間(7錠を飲み切るまで)は他の避妊法(コンドームなど)の併用が必要です。
  • 飲み忘れ前に避妊せずに性交があった場合は、緊急避妊(アフターピル)の検討が必要です。
3週目に飲み忘れた場合
  • 気づいた時点で1錠服用し、以後は1日1錠を継続。
  • 休薬期間(偽薬服用)を設けずに、次のシートへ連続して服用してください。
  • このケースでは、緊急避妊は不要とされています。

ピルの服用終了後について

ピルの服用を中止すると、通常は3ヶ月以内に自然な月経が再開します。 元々月経不順があった方は再開まで時間がかかることもありますが、多くの場合はホルモンバランスが回復し、妊娠可能な状態に戻ります。

ピル服用時の注意点

医師に相談が必要な方

以下に該当する方は、ピルの種類や服用方法について医師と十分に相談してください。

  • 40歳以上
  • 乳がんの家族歴がある方
  • 血栓症の家族歴がある方
  • てんかんの既往
  • 喫煙習慣がある方
  • 糖尿病や耐糖能異常のある方

また、他の薬を併用している場合は、ピルの効果が変化することがあるため、事前に申告してください。

ピルを服用できない方

以下の方には、ピルは原則として禁忌です。

  • 乳がん・子宮がんの既往やその疑いがある方
  • 現在または過去に静脈血栓症にかかったことがある方
  • 喫煙者
  • 高血圧
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある方
  • 授乳中の方

ピル処方に関するよくあるご質問(FAQ)

ピルを飲むと太りますか?

現在主流の低用量ピルでは、太るという明確な因果関係は確認されていません。一時的にむくみや食欲の変化を感じることがありますが、多くの場合は数ヶ月で落ち着きます。

ピルを長期間飲み続けても大丈夫ですか?

健康状態に問題がなければ、長期間の服用も可能です。むしろ卵巣がんや子宮体がんのリスクを下げる効果も報告されています。ただし、定期的な血圧測定と問診を受けることが大切です。

ピルを飲んでいると妊娠しにくくなるのですか?

ピルをやめれば排卵機能は自然に回復します。妊娠率に影響を与えることはありません。服用中は妊娠を防ぎ、将来の妊娠力を温存する手段としても有効です。

飲み忘れた場合はどうしたらいいですか?

飲み忘れの時間や錠数によって対応が異なります。基本的には気づいた時点で1錠を服用し、その後通常通り服用します。複数錠忘れた場合は、医師や薬剤師にご相談ください。

タバコを吸っていてもピルは使えますか?

喫煙者、とくに35歳以上の方は血栓症のリスクが高くなるため、ピルの使用はおすすめしません。禁煙を強くおすすめします。

月経(生理)日をずらしたいときにピルは使えますか?

はい、月経(生理)日を調整することは可能ですが、目的に応じて使用するピルの種類が異なります。一般的に、イベントや旅行などで一時的に月経(生理)日を移動させたい場合は「中用量ピル」を使用することが多く、服用のタイミングも重要です。現在低用量ピルを服用中の方は、連続服用によって月経(生理)日をずらす方法もありますが、副作用の可能性もあるため、事前に医師との相談が必要です。

ピルを飲んでいる間に不正出血がありました。大丈夫ですか?

ピル服用初期に見られる副作用の一つで、多くの場合は数ヶ月で自然に治まります。ただし出血が長く続く、量が多いなどの場合は医師の診察を受けましょう。

他の薬と一緒に服用しても問題ありませんか?

一部の薬(抗生物質、抗けいれん薬、漢方薬など)はピルの効果を弱めることがあります。新しく薬を飲む場合は、必ず医師または薬剤師に確認しましょう。

授乳中でもピルは使えますか?

通常の低用量ピルは母乳の分泌に影響を与える可能性があります。授乳中はプロゲスチン単剤の「ミニピル」など、別の選択肢をご提案する場合があります。

ピルを飲むことで肌がきれいになるって本当ですか?

はい、にきびや脂性肌に悩む方には、ピルのホルモン作用が改善をもたらすことがあります。ただし、肌への効果には個人差があります。